田舎のバー～アメリカの結婚と恋愛３

最後の三番目、ジョージの場合。

彼は一度も結婚してません。一緒に暮らしてた女性は過去にいました、その人の間に娘さんもいます。

ジョージは主人のバイト仲間。主人より一つ年下です。主人が空軍入隊後に初めてシカゴに帰った夏に、ジョージのゴージャスな彼女に会ったのが初めてで、その後、彼女の事を見る事は無かったらしいです。

何故だか聞いてませんが、私が、「結婚したことが無いってホント？」ってどうしてなの？っていう意味を込めて言いましたところ、「ジョージ曰く、僕は一度も結婚したいと思ったことが無いんだ、なぜだか知らないけど。」という答えが返ってきました。

そのゴージャスな彼女との間に娘さんがいるのですが、その娘さんも今はもう３０歳、ジョージにはお孫さんも２人いるそうです。なぜ結婚しなかったのか、なぜ結婚をしたくないのかは謎ですが、バツイチ男たちの中で一番過去を引きずっているらしきがジョージでしたね。笑

なんでも、高校の時、いじめにあったそうで、その事を今でも、それこそ、文字通り、グチグチいうんですよ。私もいるのにね。どこかこう、トラウマを乗り切れてないようなところがありました。

その娘さんの母親の事は、母としてはあまり良くない母だったと言ってました。何があったかは聞くのも怖かったので聞きませんでした。

人の人生って本当にいろいろで、何の苦労もなく育つ人もいれば、なくってもいい苦労を背負い込む人もいますよね。ジョージが後者の人で、家庭内での苦労が絶えなかったようです。ギャンブル好きの父親は、この前亡くなったばかりなのですが、彼にとっては最後の問題が無くなったと言っても良かったんじゃないかなぁと勝手に想像します。

その父親、いよいよお金が無くなって破産寸前になり、ようやく老人ホームに行く決心をし、ホームに着いたその夜に亡くなられたそうです。よっぽどショックだったのかしら？なんて思いますけど、どうなんでしょうね。

なので、それまで父親と一緒に住んでいたジョージは、今アパートに住んでます。私たちが新婚でお金のない時に住んでいたアパートが見えるところに住んでるんです。ジョージのアパートのリビングの窓から私たちのアパートが見えます。奇遇だねってみんなで笑ってました。

彼の今の彼女の話は、彼の一番したかった話、つまり昔のいじめっ子の話が中心になっていたので、話すら出ませんでしたけど、翌朝、「本当は彼女に会って欲しかったんだけど、昨日は残業で来れないと言う事なんだ。」って言ってました。

その晩、オリンピックを見ながら昔話に花が咲きました。私は昔の話は良く知らないので、聞く専で、うんうん、へ～ってTV画面見ながら聞いてました。

そのうち酔いが回ってきたのか、ギターを引っ張り出してきて、弾き始めました。これがプロ級！ホント、自分で作曲した曲をコンピューターに入れてあるからそれも聞かせるよ！って聞かせてもらったんですが、昔、ニューエイジが流行っていた時のNarada と言うレーベル？があるんですけど、そんな曲風なインストルメンタルな曲です。

何かのフェスティバルに偶然行った時、たまたま子供のころにギターを教わった人がそこに居たそうで、その後フェスティバルでもたまに演奏する事になったそうです。とっても上手いのでCDを出すべきだって私達は言いました。

そのジョージ、今のお仕事なんだと思いますか？パーク・ディストリクトの用務員さん。笑　一応市の仕事ですから、安定したお給料なんでしょうけど、Better Call SaulというTVシリーズを見た事がある方なら分かると思いますが、ボイラー室が彼のオフィスなんです。笑　

飲酒運転２回によって、車の免許を取り上げられてしまった為、自転車で通勤しています。ひょっとするとアル中なのかもな。。。って思うところがあり、翌朝起きてすぐにトイレットペーパーが無いから買ってくるね！言ったと思ったら、部屋中をうろうろして、「ああ、信じられない！財布が見つからない！」とな。。

「え？どこに置いたか覚えてないの？」と言って、私達もうろうろと探し始めました。昨日仕事の帰りに、バーでマルガリータ２杯飲んで、支払いしたのは覚えてるんだけど・・・。とな。リビングの机にはないし、玄関すぐのテーブルの上にもないし、「しまったな、何が嫌って全部入ってるんだよね。財布の中に。。。クレジットカードや銀行のカード。。。」

これが自分の息子なら、「だから言ったじゃない！いつも同じところに置けって！」って怒りだしますよね、私。笑　

トイレットペーパーが無いので、仕方なく、ペーパータオルを一枚に剥がして、水の中で崩れて流れやすくなるようにし、用をたしました。笑　全く、今回の旅行は人の家にお世話になるというより、キャンプに近いかな？なんて思いました。

やっぱり子育て経験のある、ブライアンの家が一番ホスピタリティーがあったかな。笑　

ギャーギャー言った挙句、ジョージ、「ああ！あった！」と自分のベッドルームに置いてた事を忘れてたようです。酒に酔って昼寝する前に置いたところを、覚えずにそのまま倒れ込んだのでしょうね。

もう主人はあきれ顔。「ちゃんとしなきゃダメだよ！特にお前は金が無いんだから。。。」ごもっとも。笑　本当に危なっかしい人ですよね。大人になりきってない５０代の男って、主人の双子くらいだと思ってたので、ぶっちゃけ、驚きでした。お母さんと暮らしてないだけジョージの方がまともかな？

結婚できない男って、どこかが大人に成りきれていない人なんだろうなぁ。って改めてそう思いましたね。ジョージは過去のトラウマから抜け出すことが、大人になる一歩なのだよ～と思ってます。「その前にWoodDaleから抜け出さないと！」って主人に言ったら、「その通りだよね～！」って返ってきました。笑

主に仕事ででしたけど、世界４４ヵ国に行った事のある主人には、ジョージの暮らしは想像できないものでしょうね。私にも地元から離れない友達はいますが、どんな風なのか想像ができませんね。ずーっと同じ所に住むって、私達にとっては苦痛になっているのかもしれませんね。

「根無し草だったで症候群」ですわ。笑