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139.社会との接点

カテゴリ 中東

私は記事を書くとき、事実関係に誤認がないよう、裏取りをしている。といっても、ネットや辞書、手元の本で調べる程度だが。だが私はここで、みなさまにお詫びをしたいことがある。以前、よくいく水たばこやのことをご紹介した回のことだ。その中で私は、たまたま居合わせた常連さんに聞いたことを基に、常連さんは一日2回はこちらに来るということを紹介した。

その後もこの水たばこ屋に通う中で、たまたま1日2回、午前と午後に来店したことがあった。私は、店主にこれで本当の常連だと、いい気分になっていった。ところがその店主は、「2回?少ないね~。多い人は1日5回は来てるよ」と、こともなげに言ったのだ。だから、ここでみなさまにお詫びして訂正する。真の常連になりたければ、1日2回ではなく5回は来店してください。日本の喫茶店と同じように、この水たばこ屋にも常連席が存在する。ドアを開けて左、レジ真横の6人掛けの席が、この店のそれだ。近頃は店主や共同経営者、真の常連ともぐっと距離が近くなり、私が店に入ると空きがある限りはそこに招かれて紫煙をくゆらせることになる。その昔ここにきはじめたころは、常に話し相手がいるわけではなかったので、適当に空席を見つけて、キンドル先生と過ごすこともあったのだが、最近は、そうもいかない。

さてこの水たばこ屋、私にとって本当に貴重な、イラン社会との接点になっている。非常に細かい事例でいえば、先日私が水たばこ屋に行く途中とある電気店に寄った。個人のつながりで物事が進むこの社会なので、イチゲンさん、まして外国人である私は、このような場合かなりの高掴みさせられることを覚悟しなければならない。だがその店に入った時、店員のうち一人が、「今日は水たばこ屋に行かないのか」と声をかけてくれた。私は気づかなかったが、その彼もまた、常連であるらしい(真の常連かどうかは聞かなかったが)。また、そろそろ私の息子がイランに来るため、チャイルドシートを買いたいと話をしていたところ、店主が前職(子供服屋)のツテで、欧州ブランドの製品を、売価よりも割引して買ってきてくれた。さらにまた、イランでは年末に両替会社が店を閉める事象が発生しているが、これも常連の一人に両替会社社員がおり、彼に助けてもらって事なきを得た。

このような、実利がもたらされること以上に、生(き)のイランを感じられることがとても多いのだ。隣に座った布屋のおじさんで、布はどこから買ったか聞いてみた。すると、少し前はいろいろな外国と取引があったが、今は中国だけになったとの答え。また水たばこやの店主になぜ仕事を買えたのかと聞いたら、イランリアルの価値が下がってしまい、儲けがなくなったからだ、と言っていた。またこれまで年に1回行けていた海外旅行が、2年に1回になったとの話も聞いた。確かにメディア上では、米国経済制裁のイラン経済に対する影響(ほとんどが、悪影響)が報じられている。このような情報が、常連さんたちの話を聞いてはじめて、私の中に実態に迫ってくる。

この水たばこ屋に来る人たちの職業はバラバラだが、個人事業主が一番多いように感じられる。そのため、経済の浮き沈みの影響をモロに受ける層ということも影響しているのかもしれない。

ひとつマイナスを挙げるとすれば、水たばこは何も考えずに吸いたいこともあるにも拘わらず、こういった大事なことが話されるために、気を抜けないことが多いということぐらいだ。職場とは違って、ペルシア語を本気のスピードで話してくるため、より気が抜けない。残り少ないと思われるイラン滞在、家族との時間を大切にしたいということもあり、これまでのようにこの水たばこ屋に通うことはできないが、一人のイランウオチャーとして、この接点をこれからも大切にしたい。


【ひとことペルシア語139】lab gir (ラブ ギール)
:水たばこを吸うときに、口に直接つける部分のパーツのこと。衛生面を考え、プラスチック製で使い捨てものが使用されている。


【書物で知るイラン9】『エネルギー』 講談社文庫、黒木亮著
:イラン南部に浮かぶ巨大油田の開発をめぐる、日本の官僚・商社マンの戦いを描いた作品。著者の意図は別のところにあったようだが、ハータミー師が大統領だった時代のイランがとても上手に描かれている。



*なおこの記事は筆者の個人的な経験に基づいて記載されており、筆者の所属する組織とは全く関係がありません。

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イランの首都テヘランに駐在中の筆者が見た、この国の模様を執筆するブログ。駐在先としてあまり聞かないと思われるイランの様子を肌で感じられるような記事を週に一回アップ中です!

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