タナラタの花
24日(金)安倍首相の思考回路がわからない。自分がアジア情勢に影響を及ぼすことを十分に承知の上で、自分の信念に従って靖国参拝をやっておきながら、スイスで行われてたダボス会議で、「日本の軍人だけでなく世界の戦没者への追悼だ」とか「誤解がある」
などと、見苦しい発言に終始している。韓国からは「誤解はない。真実を分かっているかどうかだ」と反論され、中国からは「安重根記念館がテロリスト礼賛というなら、日本の指導者がA級戦犯を祀った神社に参拝する行為は何なのか」と言われる始末である。
戦後の日本は昭和天皇の「終戦の詔勅」で見てきたように、天皇みずからも世界に対しても、国民に対しても謝罪を口にせず、むしろ大東亜共栄圏建設が出来なかったことをアジア諸国に詫びるという、時代錯誤的認識で誰も責任をとろうとしなかったことが偽らざる事実だ。
タナラタの花 自分たちだけが悪いわけではなかった、東京裁判は勝者による裁判で不当だと言いながら、自分たちで責任者を追究するという作業をしたわけでもなかった。戦犯とされた人々は次々と復権を果たし、政財界を牛耳ったのである。自民党は結党以来改憲を党是とした。
それでも、自民党内のリベラル派や良識派は戦前、韓国や中国に対して犯した過ちは認めざるを得ず、努力を積み重ね、村山政権以降、謝罪を口にするようになり、未来志向で友好関係を再構築しようとしてきた。安倍政権はその努力さえも否定しようとしている。
当地に来るにあたって持参した本の中に立命館大・大島堅一氏の「原発のコスト」がある。私たちは安全神話と同時に原発は安くてクリーンなエネルギーだというウソをいつの間にか信じ込まされてきた。大島氏は原発に関するコストに焦点を当て、検証されている。
タナラタの花 都知事選も始まったので、東京在住の教え子たちや読者に対し、このことを紹介し、脱原発を訴えている候補の支援につなげてほしいと思う。普通の会社なら、コスト的に採算の合わない事業からは撤退するのが常識だ。ドイツの電力業界がゼロに同意した理由もメルケルの決断に加えて、電力会社が不採算だという政府の説得に同意した事実もあるのだ。。
アメリカやドイツが再処理から撤退した理由も、イギリスもそれに続こうとしているのもコストである。日本でなぜその議論が起こらないのか。理由は簡単、電力が地域ごとに電力会社に独占され、さらには総括原価方式によって、競争原理が働かないからである。
どんな事故を起こそうとも、会社はつぶれず、利益が確保されるという摩訶不思議な業界なのである。この電力業界を欧米並みの一般企業に改編するだけで、日本はまともな国になり得るのだ。国民もコストについては知らされてこなかった。今目を覚まそうではないか。
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