子供も楽しめるように
10日(火)明日は退職者の会で酒を飲むので、書き溜める。橋下大阪市長が全国学力テストの公表にこだわるのは、その結果によって学校予算の配分に傾斜をつけたいからだ。これもサッチャーの改革で導入され、閉校にまで追い込んだ事例に倣おうというものだ。
だが、これも本家では破綻し、修正に追い込まれたやり方である。英米日の競争・成果主義の導入に対し、ドイツをはじめ欧州諸国は全く正反対の改革に向かう。国立教育政策研究所総括研究官・坂野慎二氏の論文に従って紹介してみよう。ドイツには文部省がない。
ドイツでは90年代以降、「学校の自律性」が強調されている。規制緩和による学校の自律性、学校権限の強化は同時に学校に自己責任を課すことにもなる。学校教育プログラムがどの程度達成したかを学校が評価することを法令で規定する州もあるという。
新渡戸稲造記念館
ドイツの教育は戦前のナチスによる中央集権を反省し中央文部省を廃止した。(州同士の連絡機関はある)したがって、教育に関する権限は州にあるので、基本的には州ごとに政策の中味が異なる。坂野氏が取り上げているのはノルトライン・ウエストファーレン州。
経営サイクルにおける「計画=学校教育プログラム」と「評価=学校評価」は連動して行われなければならない。各学校の自己責任と裁量権の拡大を前提にこのプログラムが位置づけられている。州の文部省はこの段階で学校評価に必要な情報を学校に提供する。
学校教育プログラムが作成される過程及び決定する過程では、学校関係者を巻き込むことが意図されている。学校関係者とは勿論、教職員、保護者、生徒のことである。この三者が参加する学校会議で最終的に決定される。英米のように住民代表や議員は入らない。
少年よ、大志を抱け
絶え間ない学校教育プログラムの作成と修正により、教職員、生徒や保護者の間に共通理解が生まれること、そして協働して学校教育活動が目指されている。生徒が評価や学校のルール作りに参加して、決定に加わる等日本の教師には想像さえできないのではないか。
評価の内容はどうなっているか。8項目あるが、学校の状況全般や教員の労働条件まで3者評価の対象だ。学校生活、授業、学校と家庭の協力などの項目もある。5段階又は3段階で評価で一部は記述式になっている。実は30項目から学校が選択して答える仕組みだ。
学校監督当局と学校との関係はあくまで指導・助言であって命令ではないと。今の日本の学校も学校教育法上は指導監督になっているのだが、それを変え、学校内に職階性を持ち込み、命令で処理できるようにしたいというのが都教委であり安倍政権の方針だ。破綻することは目に見えている。
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