朝身なりを整える中学生
12日(火)曇。前にも書いたが、一般の企業ならコスト計算が最優先で、採算が合わないと判断すれば、その事業から撤退するのが常識である。米国でも最近いくつかの原発の廃炉が決定されたのも採算が合わないとの結論だ。なぜ日本の電力会社にそれがないのか。
採算に合わなくても存続し続けるのは地域独占と総括原価方式という、全ての費用を自動的に電気料金に転嫁できる仕組みによる。前代未聞の事故を起こした東京電力が黒字決算を出すなど許されない。採算の合わない典型企業が再処理工場を持つ日本原燃である。
現在、再処理工場は動いていない。再起動の見通しもないという。それでも、年間維持費が1100億円もかかる。その内訳は点検、使用済み燃料の管理に200億円。廃液の分析の委託、工場警備の委託、放射線管理の委託に200億円。1500人の人件費に128億円。
タナラタの町
福利厚生費、再処理技術の研究費に172億円。固定資産税金融機関への返済に400億円。といった具合だ。最大の問題は再処理することによって発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分地が決まるまでの時間稼ぎの役割もある。六ヶ所は核のゴミ捨て場にされた。
福島原発事故による除染で出るごみを30年間に限定して一時的に保管する中間貯蔵施設でさえ、建設地を巡って逡巡しているのに、最終処分場など見つかるはずがない。見つからなければ、政府と青森県との約束によって、使用済み燃料は各原発に戻されることになっている。
仮にそんなことが許されるのは数年の話だから、その後原発は動かせなくなるのだ。全原発が再稼動した場合、26年(12年後)までにすべての燃料プールが満杯になるのだという。政府や電力会社が再処理にしがみついているのは、「再処理中止」の影響の強さを恐れるからだ。
教会付属小学校
破綻寸前の再処理施設やもんじゅにこだわる理由はもはや軍事上(つまり将来の核武装)の目的からプルトニウムを取り出す独自の技術が目的であることは、一昨年12年6月に成立した原子力規制委員会設置法案の中にその文言を盛り込んだことでもわかる。
民主党政権末期に成立したこの法案の原子力規制委員会の独立性だけが話題となり、この重大な規定を滑り込ませたことをマスコミはどれほど批判しただろうか、記憶にない。第一条の末尾に「我が国の安全保障に資することを目的とする」がさりげなく盛り込まれたのがそれである。
今副総理の麻生太郎などは公然と核武装に言及するようになっているが、原子力村のトップにいた現・日本原子力研究開発機構理事長・鈴木篤之氏も「再処理技術の軍事目的への転用は、政体の変化と国の意思による」と書いている。まさに、今の安倍政権がそこに手を付け始めていることを強く感じる。
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