鮮やかなハイビスカス
4日(土)曇。東京は夏が戻ったようだ。新潟は爽やかで、室内にいると、窓を閉め切って丁度いい。1日で新幹線開業50年になるという。私には何の感慨もない。当時21歳の貧乏学生。私は反対派だった。「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く」の標語が大好きだった。
新幹線は高度経済成長のシンボル的な構想だったが、東海道はともかく、日本中に新幹線網を張り巡らす構想は、自然を破壊し、コスト的にも採算が合わないことは目に見えていた。ましてや全国の交通網としても、道路、空路、海路の関係に、なんの全体構想もなく作られた。
先の標語は73年に総理大臣賞受賞を受けた交通標語だが、その自然に優しい標語とは裏腹に、ただ便利さや速さだけを求め続け、空港だけでも都道府県数をはるかに超える空港や港湾が建設されていった。その他無駄なダムや橋、トンネルが自然を破壊しつつできた。
キャメロン花
新幹線や高速道路ができた結果、在来線がすたれ、通貨路線の町が寂れた。そんなことは百も承知で効率さやその時の経済発展だけを追い求めるビジョンなき公共事業である。要は国民や住民の生活を第一に考える視点がそこにはない。土建国家の発想ではないか。
そして、今度は懲りもせず、リニア新幹線だという。今月にも着工とされるリニア中央新幹線は品川から山梨県甲府市を通り、長野県飯田市、中津川市を経て名古屋市に至る286キロに及ぶ。13年の歳月と9兆円もの巨費を投じて、再び環境破壊をやろうとしている。
そもそもこの計画は福島原発事故で中止されるだろうとマスコミも書いた。なぜなら、リニア新幹線は新幹線の3倍の電力を使うため、原発の推進を前提にしていたから。原発事故でそれが崩れた以上あり得ないと。ところが安倍政権の誕生で再び原発推進となって、息を吹き返した。
キャメロンの花
リニア新幹線がもたらす環境破壊は路線全体の9割がトンネルであるために生み出される6400万立方mの残土の問題、江戸時代の街道、妻籠(藤村の小説・夜明け前の舞台)の南2キロの山並みを全てトンネルで通すため、妻籠の水源の水枯れが心配されるという。
中津川近くの日本最大のウラン鉱床にかかるとされる地域の掘削による放射性残土の危険もあるという。千葉商科大学大学院客員教授・橋山禮治郎氏は「巨額の建設費・維持運営費に見合う収入がとても望めない。「過大な需要予測、国歌百年の愚策」だと断言。
日本の公共事業の異常さは米仏独英と比較すれば一目瞭然。対GDP比の公共事業費と社会保障。米は公共事業費1.9に対し,社会保障費4.8、仏は2.8,6.1、独は2.0,7.4、英は1.4、12.4、日本は6.0、3.4である。公共事業費が社会保障費を上回る国は日本だけ。日本は4ヵ国平均の3倍の公共事業費に対し、社会保障費は二分の一。この数字を見ておかしいと思わない日本人がいるのか。
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