鎌倉の小学生に出会う
13日(月)曇りのち雨。私は若い頃、洋画を見ながら、日本もいずれは普通のサラリーマンがあんな広い家に住み、趣味に生き、ひょっとしたら別荘で長期休暇を家族で過ごすような豊かな生活を楽しむ日が来ると想像した。戦後の復興はそれを保障するかと思われた。
生徒たちにも同じことを語り、世の中は限りなく進歩し、発展するものだと教えた。ところが、今の世の中はどうだろう。経済的には日本はドイツの上を行き、世界第3位と4位という大国になった。にも拘らず、日本の富は偏在し、貧富の格差は拡大し、最低限の生活も怪しくなってきた。
日本国憲法で保障された教育、表現や集会の自由は制限され、唯一世界に誇ってきた70年も平和を守ってきた憲法9条も安倍政権の誕生によってなし崩しにされ、戦争の出来る国になろうとしている。安倍首相や櫻井よしこ等はそれが日本を取り戻し、誇りの持てる国になる道だと説いている。
山頂は近い
日本は何を間違えたのか。同じ廃墟から立ち上がったドイツとどこで分かれたのか。私個人はひとえにあの戦争にどう向き合ったかどうかの差であるように思われる。ドイツでは戦争に反省しない保守派が徹底的に排除されたのに、日本では戦争に反省しない保守派が政治を牛耳り続けた。
私は17年前、初めてドイツベルリンのGさん宅にお世話になった時、4階建ての石造りの家。ピアニストでもある夫のDさんが年一回100人を集めてコンサートをやる部屋。200坪はあろうかという庭でテーブルや椅子をセットし、手作りのケーキでテイータイムと洒落こんだ。
Gさんに曰く、これでも昔に比べると、余裕がなくなったんですよ。学校は午前中で終わり(今でも1時半には終わる)労働者も2時間の昼休みのために帰宅し、家族でテイータイムを楽しんだのだという。そういえば、隣の家でも同じように庭でテイータイムを楽しんでいた。
最後の急な階段道
あの映画で観た世界がそこにあった。Gさん夫妻が大学教授だからではないかと聞いたら、いいえ、隣の家は小学校の先生で近辺はほとんどサラリーマンですよ。別荘を持っている家もあるけれど、私たちは家族がバラバラなことが多いので、持たないことにしたと。
この家も中古で、何百年も経っている古い家だけど、内を改装し、4階は外国人の留学生に貸しているの。Gさんが我が家に来た時、日本同様、介護問題が社会問題で、私も旧東ドイツのハーレから週一回、南ドイツフランス国境の実母の家まで500キロ車でいくのよ、と悩みを語った。
社会保障と言えば、発祥の地イギリス、それを超えた北欧諸国はもちろん、日本が手本にしたドイツの介護制度をはじめとするドイツの社会保障制度にも関心が甦り、比較してみたい気になった。幸い、先に紹介したドイツ在住の熊谷徹氏の著書「あっぱれ技術大国ドイツ」に載っていた。
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