思い出のスリランカ
2日(金)原発問題を追っていると、最後はやはり放射性廃棄物の処分に行きつく。この問題を解決できない限り、原発をエネルギーとして導入すべきではなかったのだ。トイレのないマンションなど許されるはずもないのだから。それを世界の国々はやり続けたのだ。
22年までに原発ゼロを決めたドイツでも今まで放射性廃棄物は、 合計1万2500トンに上るという。さらに毎年500トンずつ増えていく。その放射性廃棄物は今も日本同様フランスとイギリスの再処理工場に保管されているという。いずれは引き取り、その処分をしなければならない。
日本ではどうか。各原発に貯蔵されている使用済み核燃料がすでに1万4200トンあり、仮に今全停止している原発を再稼働させれば、毎年1000トン増えるという。各原発の燃料プールの保管能力は2万630だから、11年現在であと6年ほどしか余裕はないのだという。
これは高レベル廃棄物の話で、作業着、掃除に使った水や雑巾、今回の福島事故の除染によって出てきた低、中レベル廃棄物もあるし、原発の排気塔から大気中に放出されたり、温排水として地中や海に排出されている放射性廃棄物はカウントさえされていないという。
昨年末に東電が除染に関わる薬剤を10倍から100倍に薄めて使っていたことがニュースになったが、大きな問題としては取り上げられなかった。事故前も日本では原発施設内の掃除や作業着などの洗濯に使った水は温排水と共に海に捨てられていたのだという。
50年代半ば、欧米でも「核の平和利用」の黎明期に専門家たちが,放射性廃棄物は「食品の鮮度を長持ちさせる」のに役立つなどと主張して、廃棄物の処分法に対する批判をかわしていたという。ドイツの法律では「安全に処分できない限り稼働できない」とあるのに。
思い出のスリランカ
日本でも北海道で食品への放射線照射がジャガイモの発芽を止めるためと認められているのだとか、殺虫、殺菌、などの目的で利用できないかと研究がつづけられているのだという。六ヶ所村の再処理工場建設も廃棄物処理批判に対する逃げ道としての役割もあると。
仮に再処理工場が稼働しても処理能力は800トンで、全原発が稼働すれば出る廃棄物は年1000トン。それ以上にこの再処理によって放射性廃棄物がなくなるかのように報道されているが、全くのデタラメで、より危険な高レベル廃棄物に姿を変えるだけだという事実。
どこの国も解決していないこの問題。アメリカもネバタ州ユッカマウンテインの処分場は頓挫したし、ドイツのゴアレーベンは凍結、スエーデンでも花崗岩層への保管構想を断念。結局今完成したのはフィンランドだけである。何億年も地震の無い国での話である。
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