マドリード 21日(土)晴。教え子から友人の夫(外国人)の職がなかなか見つからないので何か手立てはないかとの相談を受けていた。あれこれ考えているうちに、福島の原発の作業員に決まったとの連絡を受けショックを受けた。どうしてもそうならざるを得ないのだろうか。
事故前でも柏崎刈羽原発で外国人の作業員の話は聞いていたので、なおのこと考えさせられた。今福島原発の現状は安倍が世界に向かって発言したように到底「コントロールされている」とは言い難い。潮の満ち引きで港湾内の海水は毎日入れ替わっているのに放射性の濃度は変わっていないという。
これは「資源エネルギー庁汚染処理対策委員」の丸井敦尚氏の証言で、これは原子炉建屋から放射能汚染水が海洋に漏れ続けている可能性を示しているという。汚染水は1月末現在で原子炉建屋やタンクに計69万トン、そこに毎日300万tが新たに増加していると。
中世そのままの小路 原発敷地内に増え続けている汚染水タンクも数年で満杯といわれているし、浄化装置のアルプス(多核種除去装置)もトリチウムは除去できないという。それでも、規制委員会はアルプスで処理した汚染水を海洋に捨てるように要求しているという。とんでもない話だ。
まして、4年経った廃炉の進行状況はといえば、メルトダウンした1~3号機は溶けた核燃料(デブリという)がどのように分布しているか全くわかっていないという。今日、新潟県の技術委員会のメンバーが調査のために1号機の建屋に入ったが、30分が限度だという。
そういう最も危険な場所に何の保証もない孫請け労働者や外国人が送り込まれる危険性は十分にあり得る。十分に危険保証がある社員がその危険作業をやるならともかく、はっきり言ってあり得ない。今月22日号のしんぶん赤旗に60代の元作業員の証言が載っている。
マドリード 昨年末まで約1年間、福島第一原発の一階で下請け作業をしていた人の証言。「東電も元請も口では『安全第一』といいます。だけど、1Fはブラック企業だらけで、技術を磨いて、安全性を高めていくという環境ではありません」契約では1Fでの作業はないとあったのに。
「就職したら1Fに行けと言う。求人票にあった健康保険、厚生年金、雇用保険、有給休暇もありません。賃金は翌々月払いでした。危険手当も約1年分の約260万円が不払いです。作業も過酷です。夏はサウナに入っている状態。高所から落下を防ぐ安全ベルトも人数分はありません」
「新人に技術を教え成長させるということをそもそもしません。労働や安全に対するモチベーションが高まるわけがない。労災事故が増えるのは当然です。廃炉を進めるには人間らしく働ける環境改善が不可欠です」と。もう決めたという外国人が心配になってきた。