バルセロナの思い出
27日(金)風は強いが、予報のように雪はない。東電が福島原発の汚染水の外洋流出を隠していた問題で責任者の言いぐさが「公表への配慮が足りなかった」それに対応した経産副大臣の高木陽介氏(公明党)は「必要な情報提供をお願いしたい」と述べたという。
これだけでも腸が煮えくり返る。「公表への配慮」ってなんだ!「お願いしたい」?この連中の感覚は正常とは思えない。これだけの事故を起こし、未だに12万人の避難者がいるのに、賠償も汚染水対策もいい加減、こんな企業が黒字を出して株主に配当をする?
原発から出る放射性廃棄物を汚染防止法の適用除外にした意図がようやく理解できた。矢部氏の本にもあるが、私も憤慨したのを覚えている。11年8月、原発から45キロ離れた二本松のゴルフ場(汚染がひどく営業停止になった)が放射能の除染を求めて提訴した話。
バルセロナの思い出 読者諸君も覚えておられよう。この裁判の東電側の主張。「原発の敷地から外に出た放射性物質は、すでに東京電力の所有物ではない『無主物』である。したがって、東京電力にゴルフ場の除染義務はない」矢部氏ではないが、はあ?バカじゃないの?と誰もが思った。
無主物とはだれのものでもないという意味で、ゴルフ場に付着したストロンチウムやセシウムはゴルフ場の所有物だという言い分だ。東電はこうも主張した。「測定精度が信用ならん、たった52か所の測定では、直ちに健康被害があるわけではないから休業の必要なし」
日本一流と言われる弁護団の主張である。東京地裁はどう逃げたか。「除染方法や廃棄物処理のあり方が確立していない、除染は国や自治体が行うもの」との屁理屈で訴えを却下してしまった。自衛隊や米軍相手の裁判で逃げるあの「統治行為論」と同じ論法である。
バルセロナの思い出 東電や弁護団のバカげた主張が通るなら、国民はこの事故による損害賠償が一切できないことになってしまう。汚染防止法から放射能のゴミを適用除外した意味がよくわかった。1年3か月後の行われた改正とは各法律から「適用除外」を外し、環境基本法も改正された。
ところが、環境基本法13条の「原子力基本法で定める」とあって、何も定めていなかった規定を削除し、「政府が基準を定め」「国が防止のために必要な措置をとる」と改正されたのに、肝心のその基準は定められず、土壌汚染対策法の適用除外規定もそのままだと。
驚くべき話をもう一つ。12年6月に超党派で全会一致で成立した「原発事故、子ども、被災者支援法」はその後店晒しになっている。それを追及しようとした国会議員に対し復興庁の水野参事官が「何が必要かは政府が決める、そう法律に書いてあるでしょう!」と言い放ったと。官僚というのはそんなに偉いのか。