ポルトガルの水道橋
9日(月)曇。櫻井よしこの最近の発言は中国攻撃に的を絞ったかのようにエスカレートしている。そもそも中国がアメリカと並ぶ大国になることは好き嫌いにかかわらず避けがたい事実なのに、それに日本が対抗しようとして軍拡を煽るなどナンセンスで危険だ。
最新のブログでは国連の人権委員会に従軍慰安婦を性奴隷としたクワラスミ報告をやり玉に挙げて報告書全体を否定しようとしている。朝日新聞バッシングの元になった慰安婦をめぐる吉田清治氏の著書がでたらめであったことはすでに周知されていると思うが。
クワラスミ報告では数行しか触れられていない吉田証言にとどまらず、今度は16人の証言中北朝鮮慰安婦の証言を取り上げ、クワラスミ氏は本人に会っていない伝聞証言だとし、しかもその中身は中国の古書からの引用と言わんばかりの推測で中国を罵倒している。
ポルトガルの思い出
クワラスミ報告の内容については後日改めて取り上げたいが、櫻井はこの証言を「日本人なら誰しも、日本人の行為でないと断定するだろう。私たちの文明に全くそぐわない」などと、いつものように、事実に基づかない、しかも一部で全体を否定する論法である。
さて、矢部氏の著書に戻る。45年12月15日に安倍が参拝にこだわる靖国神社につながる「国家神道廃止令」が出される。そこには「天皇は神ではない」との言葉はない。命令の中に盛り込んでも、日本人が信じなければ意味がない。天皇に言わせようとなったと。
それが翌年の元旦に出された天皇の「人間宣言」だったと。この英文草稿を渡す際、「この宣言が出ないと天皇の地位が危うくなる」と脅した。憲法のマッカーサー原案を渡す時と同じ脅しだった。事実間もなく始まる東京裁判で天皇を法廷に出さないために急いだと。
マゼランやコロンブスもここから出港?
人間宣言後の2月19日から始まる天皇の全国巡幸もGHQによる天皇制を守るための事実上の指示に基づくものだった。英文で書かれた「人間宣言」は忠実に訳されたが一か所,
「日本人は神の子孫であるという誤った観念」→「天皇を生きた神とする誤った観念」これはマッカーサーからの指示からだったと。天皇自身の抵抗もあった。その結果が天皇の発案による冒頭に「五箇条の御誓文」を挿入させたこと。これで主体性を保った?要するに脅されなければ日本人自らの意思で書き込めなかった事実だ。
矢部氏はこうした「天皇利用計画」はマッカーサー側近と日本の天皇側近の日米合作のシナリオだったと。見方を変えれば、アメリカの戦後の思惑(冷戦に日本を利用)と天皇制存続の天皇の思惑が一致しただけで、戦後の無責任体制の始まりを告げただけではないか。
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