メコン川に沈む夕日 16日(火)晴。毎日私にとっての最大のストレスは安倍政権の存在である。憲法学者ばかりかあらゆる分野の学者が声を上げ始めたのは歓迎すべき事だが、そこに大きな期待をかけ過ぎるのも危険だと感じている。なぜなら、歴史に学べば学者文化人は戦争の防波堤にならなかった。
政界は勿論、技術者もマスコミ、教育界、学会、宗教界等あらゆる人々が戦争反対の声を取り下げたばかりか、とりわけ、知識人、文化人と言われる人々は最後は先頭に立って戦争を煽った。元NHK記者堤園子(90歳)は「大本営発表を読むだけだった」と。
天気予報でさえ、「敵の空襲に利用される」と禁止になったと。それでも、戦後NHK初代会長を務めた高野岩三郎氏は就任のあいさつで「権力に屈せず大衆の為に奉仕せよ、大衆とともに歩み、大衆に一歩先んぜよ」と述べたという。そのNHKは今や見る影もない。
孫崎氏は昨日のブロマガで「NHKはもはや安倍政権の宣伝機関」と批判し、筑波大はNHKが映らない装置を開発したことを伝え、受信料不払いへの道が開かれたと評価している。大手新聞も当てにならない。では戦争への道を阻止するために我々庶民に何ができるか。
昨年の安倍政権による解釈変更の閣議決定以来、危機感を表明している小説家の半藤一利氏は今月8日の毎日新聞のインタビュー「この国はどこへ行こうとしているか、「平和」の名の下に」に私たちの行動に示唆を与えるような答えを提示してくれている。
安倍政権の戦争法案のわかりにくさは「意図されたもの」だと。「朝鮮半島や日本近海での有事を語らない。国民が戦争を具体的にイメージし、恐怖や不安を感じ始めるのを巧妙に避けている」と。そして、一昨年、麻生太郎が「ナチスの手口に学んだら」と発言したことを取り上げ、
夕暮れ時の海岸の様子 あの当時の「全権委任法」の前に「ヒトラーは国会決議を経ない閣議決定で大統領緊急命令を発令させ、ワイマール憲法を空洞化し、いくつかの法を一束にしてまとめて変え、国民の自由を制限しました。安保法制の進め方にも似ていませんか」と記者に問いかけた。
半藤氏は昨年から月刊雑誌に「私たち民衆がかってどんなふうに政府に騙され、或いは同調し、戦争に向かったのかをどうしても書き残しておきたい」と、連載を始めているという。「昭和の初期、国定教科書改訂で『修身』が忠君愛国の精神を強調した数年後に『日本臣民』が続々と増えた」
「仮に自衛隊が海外派兵される。『私たちの為に戦いに行く彼らを見送ろう』と声が上がる。これは批判しづらい。しかし、見送りに参加しなければ『非国民』呼ばわりされかねない空気が段々と醸成されていく。ありえると思いませんか」と。結局我々庶民が連帯すると共に一人一人が賢くなること以外に平和は守れないと私は思っている。