湿原歩きに出発
12日(日)晴れ。世界に例のない公務員に対する一律に政治活動を禁止した規定を改めて整理しておきたい。1947 年制定48年に改正された国家公務員法102条の「政治的行為の制限」だ。「職員は政党又は政治的目的のために、(略)選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。公職の候補者となることができない」
人事院規則とは14~17で、要約すれば、特定の候補者を支持し又はこれに反対すること、特定の政党その他の政治的団体を支持またはこれに反対すること、特定の政策を主張し、またはこれに反対すること、国の機関又は公の機関において決定した政策の実施を妨害すること、条例の制定若しくは改廃又は・・請求に関する署名を成立させ又は成立させない」
アヤメの群落 その他、政治的行為の定義として、17項目にわたって細々と規定がある。例えば、集会その他多数の人に接しうる場所で又は拡声器、ラジオその他の手段を利用して意見を述べること、或いは政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること、旗、腕章、記章、えり章、服飾その他これらに類するものを制作し配布する」
書きながら、北朝鮮だってここまで規制していないのではないかと呆れてしまう。これが、世界の先進国、民主主義を標榜する日本の姿なのだ。これを読んで、公務員なら当然じゃないかと思う人がいたら、よほど世界を知らない人だ。しかもこの規制は「職員が勤務時間外において行う場合においても適用される」となっており、勤務を終えても市民に戻れない。
この規定は2年後の50年制定の地方公務員に全面的に反映された。これは読者諸君もご存知のように日本国憲法第28条には「勤労者の団結する権利及び団体交渉するその他の団体行動をする権利は、これを保障する」とあり、明白な憲法違反と言わなければならない。
シャクナゲの花
当然のことながら、戦後全国各地で公務員法をめぐる事件が起き、憲法違反判決が相次いだ。私も在職中、何回も行政処分を受けたが、私たちは公務員法が憲法28条、21条(表現の自由)に違反しているのだという確信の下にストライキに突入したのだった。
これに輪をかけて、54年に「義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法」が成立し、「児童生徒に対して、特定の政党等を支持させ、又はこれに反対させる教育を教唆し、又はせん動してはならない」と定め、違反者には「懲役又は三万円以下の罰金に処する」とした。今回の自民党の動きは高校教師にも同じ網をかけようとする動きである。こうした、異常な動きには戦後何回となくILO(国際労働機関)から改善勧告を受けながら、日本政府は無視し続けてきたのだ。次号ではドイツと比較してその異常さを明らかにしてみたい。