今回も囲碁からのことばです。上手と下手の違い、その2です。下手というのは、いろいろな癖を持っています。下手は一般にひたすら地をとろうとします。地をとれば勝てるかもしれないのですが、地を囲う手を打っていると必ず打ちこみというかく乱に見舞われます。石が強いか弱いかを考えないのです。地を囲ってもヨセられると地が減っていきます。そして、ひたすら石を助けるという癖です。石には大事な石とカス石があります。大事な石のことをタネ石といいます。タネ石とは相手の石を切断しているとか、自分が生きるうえでの大事な石のことです。それに対して、つまらない石であるカス石は棄てて、とってもらえばよいのです。この区別をついていないと、つまらない石を取られてくやしがるのです。このような時はくやしがらず、カス石を取ってもらうことに感謝すべきなのです。これが「率直な心」なのです。囲碁では、上手の打つ手はよく見えるものです。上手は至極当たり前の手を打ちます。よくいわれる「自然な手」です。奇をてらうのではありません。ですが、なぜか下手はそれにビビるのです。劣等感からくるものです。心理的な負い目によって着手は乱れ、自滅するのがおちです。率直な心とは、悪い癖から解放される心の状態を指すといえましょう。 続きを読む