ハノイは湖が多い
17日(月)曇風強し。ロンドンに留学中のM君がコメントで英国BBC放送が安倍談話を強く批判する日本では流れないであろう内容の報道がなされていると。「日本には未だに自分たちの過去を正当化しようとする人々がいる」と。アベと一緒にされるのは苦痛だ。
日本は戦後戦争被害・加害の問題にどう取り組んできたのか。被害からみてみると戦没者、戦傷者、ヒロシマ,ナガサキの被爆者、沖縄戦による犠牲者、空襲の被災者、満蒙開拓団、シベリア抑留者、治安維持法による犠牲者等広範囲に及ぶ。
一方、加害の事実については、旧植民地(台湾、朝鮮)台湾の戦没者30306人、朝鮮22182人、計52488人、日本に強制連行・徴用された朝鮮人72万4722人(39年~45年)、中国人51190人(朝日選書・戦争責任、戦後責任=出典は大蔵省管理局等による)
信号のない道路を横切る観光客
朝鮮・中国人については国内のことなのである程度数字が把握できている。しかし、東南アジア各地(シンガポール、マレーシア等)での虐殺による犠牲者数、半ば強制労働を強いたロームシャ(労務者)や従軍慰安婦の実態、731部隊による犠牲者数ははっきりしない。
先日もテレビで放映されていたが中国重慶への無差別爆撃(死者約1万人とも)、オーストラリやシンガポールへの空襲の実態も知られていない。理由は日本政府が積極的に調査しようとしなかったばかりか、隠ぺいに熱心だったことがある。それを示す証言がある。
隠ぺい工作は戦後軍や内務省主導で徹底的に行われた。奥野誠亮(故人・自民党国会議員)は敗戦時内務省の課長で、「警察関係などを中心に急いで焼けという指示を出し、自分は中部地方を中心に駆け回って、見事その役割を果たした」自治省OBの機関誌に自慢話として書いている。
アパート近くの定食屋 こんな男が慰安婦の被害者に対して「証拠があれば出してほしい」などと発言するのだから話にならない。戦後被災者への補償は敗戦の翌年から軍人恩給の復活で始まった。しかし、占領軍は「軍人・軍属にたいする優遇は不公平」だとして、中止命令を出した。
朝鮮戦争後、復活への動きが出て、53年5月、恩給法改正により、階級制に基づく軍人恩給が復活した。戦争責任の重いものに高い恩給を支給するという差別支給である。その後支給対象が拡大し、未帰還者、引揚者への補償も軍人・軍属が中心で差別支給であった。
82年の外務省調査でも対象者から空襲被災者を外したことはドイツと違うし、「国籍条項」を導入し、戦時中「日本人」として扱ってきた台湾・朝鮮人を外したことも、アメリカ、フランス、イタリアのいずれの国も外国人元兵士に対し自国民と同等に扱っている。