古都・フエ城門
2015年9月1日(火)曇り時々雨。30日のデモに対し、孫崎享氏は大手マスコミが「事実も報道できなければ、社説も書けない」と、嘆いている。橋下大阪市長は「たったあれだけの人数」と国民を馬鹿にしている。どうしてこういう人物が市長になれる日本なのか。
マスコミが政治権力に屈し、媚を売り、事実を伝えないから、安倍の取り巻きはやりたい放題である。東証一部上場の不動産大手・フジ住宅(大阪)で働く在日韓国人の40代女性が31日、「育鵬社教科書の採択運動を強要された苦痛」を理由に会社を相手に提訴したと。
その内容は驚くべきものだ。社内で一昨年ごろから中国や韓国を批判する書籍や雑誌記事が連日、フジ住宅の会長名で社員に配られたという。今年5月には、太平洋戦争について「欧米による植民地支配からアジアの国々を解放する」とした育鵬社を称賛する文書を配布。
フエ城内 各地の教育委員会が採択するよう、社員が所在地の市長や教育長らに手紙を書き、各教委の教科書展示会でアンケートに答えるよう促し、『勤務時間中にしていただいて結構です』と書き添えてあったと。「韓国人は利己的な人が多い」など差別的表現が多い文書も配布されたと。
原告女性は提訴後の会見で「偏見で社内が盛り上がっていくのが怖かった。私のような存在の居場所がなくなる。会長が社員に採択運動への協力を求めることは事実上の強要であり、憲法が保障する人格権の侵害だ」フジ住宅の社員が手紙を送った自治体は40以上に上るという。
不動産会社がなぜ教科書採択運動なのか。明らかにこの会長が日本会議の地方メンバーであることによる政治的な動きだろう。これは朝日デジタルニュースで見つけたものだが、社内文書の写真も載っている。一昔前なら大問題になった教育介入が報道さえされない。
フエ城内 沖縄の問題も簡単には終わらない。読者諸君も怒りを新たにするために、もう一度思い出して欲しい。95年、3人の米兵による小学生少女暴行事件。抗議する県民総決起集会に85000人が結集。これも橋下に言わせればたったのそれだけの人数ということになるのか。
04年に起きた沖縄国際大学・米軍ヘリ墜落事故。この時の様子を矢部宏治著により紹介すると「事故直後、隣接する普天間基地から数十人の米兵たちがフェンスを乗り越え、事故現場の沖縄国際大学になだれ込んで、事故現場を封鎖したことが沖縄の人々に大きなショックを与えた。
米兵の許可を得て大学構内に入っていく日本の警察。警察も消防も知事も市長も国会議員も米軍の許可がないと中に入れない。つまり、日本の憲法が及ばない。緊急時にそれが露呈したと。矢部氏に言わせれば、仮に東京や横田でも同じだと。日本はアメリカの植民地だとしか言いようがない。