ダラットのヒンズー寺院
23日(水)調べてみると、私たちは税について正確なことが知らされていないと言える。2012年6月1日付週刊金曜日に元大蔵官僚で経済ジャーナリストの武田知弘氏がトヨタ社長と一般社員の税負担について解説している。豊田章男氏の10年度の年収3億4千万円。
彼が負担する所得税と社会保険料の合計は5438万円、住民税を含めても21%にしかならないという。これに対し08年の会社員の平均年収は約430万円、彼らが負担している税金と社会保険料の合計は149万円、収入に占める割合は35%になると。なぜなのか。
金持ちの税金は名目上は高く設定されているが、様々な抜け穴があり、実質的に低くなる仕組み。先ず配当所得に対する優遇税制。どんなに収入があろうと一律10%、(独は26%、仏29%)でいいことになっている。小泉政権時代の政策だ。豊田社長の収入の3分の2は配当金だ。
観光馬車 さらなる優遇は社会保険料の『掛け金上限制度』という特典。大体年収1000万円程度の人が最高額となり、それ以上ある人でも払う必要がない仕組みだから収入が増えれば増えるほど負担率は下がる。従って1億円の人は普通人の10分の1,3億円の人は30分の1。
豊田章男氏の社会保険料負担率はわずか0・4%、一般社員よりはるかに低くなる。武田氏は近代社会においては富の再配分の意味でも金持ちには高い税率をというのは当然であり真っ当だと。欧米の国々がそうなっているのに、日本は実質的に逆進課税となっている。
武田氏は『財源がない』というのは口実であって、金持ちの負担率を庶民並みにすればいいだけの話だと。億万長者を潤すために国民全体が我慢しているのが、今の日本の税制だという。20年前には、金持ちの税は今より高かった。概算でも倍以上の税金を払っていたと。
スープになる 企業よりと言われる「週刊ダイヤモンド」誌でさえ、日本の法定実効税率35・34%を安倍首相が数年以内に20%台にするとし、6月24日に閣議決定したことに疑問を呈し、様々な節税制度(脱税ではないそうだ)があり、一部の企業にとっては法人税は高くないと。
現に2012年度にこれらの節税制度(優遇制度)がなかった場合の法人税収は16・2兆円、実際に納税された法人税額は10・4兆円に過ぎず、約6兆円が減税された格好だと。武田薬品を取り上げ、240億円の節税(税額控除)を受けている。その多くは研究開発費だと。
武田薬品は14年3月期、売上高の2割になる3416億円もの研究開発費を税額控除されている。研究開発税制の特典を利用しているのは大企業が中心だと。この制度ができて10年になるが、その成果という点では疑問符が付くという。我々にはまったく見えない話だ。